Vol.11
Geray Mena
-Immortal-
Geray Menaは、商業的実践と自発的プロジェクトを組み合わせたビジュアルアーティストです。
マドリードのEFTIで写真のMFAを取得した後、彼はキャリアを発展させるためパリに移り、その後ロンドンと繋がり、さらにアムステルダムでGerrit Rietveld Academieで学びました。 彼の作品には、エディトリアル、書籍、CentroCentro、WOWアムステルダム、Luis Adelantadoギャラリー、そして現代スペイン美術館などのギャラリーや美術館での国際的な個展が含まれます。
2020年以来、彼は教育活動に力を入れており、ESD&CALで講演やワークショップを行っています。
死ほど真実なものはない。私たちが生まれた瞬間から、これは人種や社会階級に関係なく、私たち全員に平等に影響を与える事実です。時間の経過は誰にとっても同じです。
「不滅」では、私は日常を通じて象徴的な旅を行い、人間がこれまで直面したかもしれない最も高い問いである死を理解しようとします。
Web
Xiaopeng Yuan (Same Paper) 賞
苅部 太郎
-あの海に見える岩に、弓を射よ-
1988年愛知生まれ。洞窟壁画が壁のヒビや窪みを使って描かれ、夜空の星々に星座が結ばれたように、人は太古から見立てる欲望をもち、そこにないものを幻視してきた。生身の見る者の役割を代替しつつあるAIは人の脳神経回路網を模す。視覚と技術の交差点に興味を持ち、機械の眼に幻を見させる実験を始めた。まずTVに流れるニュースやドラマ、CMにグリッチを発生させた画面をカメラで撮影した。その画像を回転・切抜きして抽象画にして、AI搭載の風景写真編集システムに入力し撹乱した。機械は逸脱した情報にバグり、現実風景の特徴をパターン認識して誤読しながら「デジタルネイチャーの鉛筆」で風景写真をでっち上げる。ギリシャ神話の狩猟の女神アルテミスは、空目で恋人を殺した。アルテミスと巨人オリオンとの恋仲に嫉妬した彼女の兄アポロンは、海中のオリオンの後頭部を指し示し、あの岩を射て弓の腕前を見せよ、と妹をそそのかしたのだった。
Web
Elisa Medde (キュレーター・エディター 元Foam Magazine編集長 )賞
Yashna Kaul
-Family Romance-
ヤシュナ・カウル(1995年生まれ、インド)は、拡張された写真領域で活動するイメージベースのアーティストです。彼女は2018年にNYUティッシュ芸術学校からBFAを取得。
写真は、記憶を所有できるものとして具現化し、写真がなければその瞬間が失われるかもしれないことを示唆します。この意味で、写真は思い出すことについてであると同時に忘れることについてもあるかもしれません。私は、家族のアルバムを扱いながら、アルツハイマー病による父の神経学的な忘却と、彼の一夫多妻制に関する私の記憶との関連で、この記憶の不在と存在を通じて考えます。「ファミリーロマンス」では、アルバムを構成する仲介プロセスを特定し、写真内のパターンを識別し、構築と解体の私のジェスチャーを通じてそれらを覆すことで、アルバムを検証します。そうすることで、画像が自身の含有と排除に直面する、積極的な記憶に参加しようと試みます。記憶は本当に写真の中に刻まれているのでしょうか、それとも記憶の不在とファンタジーの存在なのでしょうか?
Web
Chiara Moioli (Mousse Magazine),太田睦子(IMA Magazine)賞
高橋 夏海
-Uncertain and Imperfect Peace -
1996年生まれ。横須賀市出身。ニューヨーク留学時にパーティーのスナップをきっかけに写真を始める。Dashwood Booksでのインターンやコロナの影響で日本に帰国後Twelvebooksでのアルバイトで写真を学ぶ。2022年、Dashwood Booksよりzine「Born」を出版。自身の制作活動を中心としている。昨年はFENDIのクライアントワークをニューヨークで2度撮影(未発表)。写真集の出版をずっと目標にしてきました。
帰国後の東京は住みやすいけれど、生きづらさを感じた。人々は完璧を求め、干渉的だった。でも完璧なんてない。ありのままの小さな個々を愛したい。
カメラの不調によって起きた多重露光、クリスマスライトに照らされ揺れる枝、緊急事態宣言下にも関わらずアイスを夢中で食べる少年。
平和とは言えない世の中だからこそ、そんな日常の美と小さな幸せをありのままに記録していきたい。
Charlotte Cotton (キュレーター・ライター) 賞