Vol.3
石野 郁和
-無題-
Concept
私たちが現在住んでいる空間は、グローバル化の影響で多様性の共存を追求する一方、価値観や文化の定義が均一化され、場所や人のアイデンティティーは喪失していくという、通常相反・矛盾していると思われる2つ以上の事柄が同じ空間に相互存在する場所に私は見える。私は自分の育った場所、日本とアメリカの日常生活の中から、その不可解に見える空間を写真で記号的・抽象的に表した。
Profile
1984年 兵庫県生まれ
2012年 ロチェスター工科大学 BFA
2014年 イェール大学院大学 MFA
Exhibition
2015年 写真新世紀東京展2015, ヒルサイドフォーラム, 東京都
2015年 The Heart is a Lonely Hunter curated by Katy Grannan, Fraenkel Gallery,
サンフランシスコ(米国カリフォルニア州)
2014年 Deep End, Diane Rosenstein Fine Art,
ロサンゼルス(米国カリフォルニア州)
2014年 Deep End curated by Roe Ethridge, The FLAG Art Foundation,
ニューヨーク(米国ニューヨーク州)
2014年 Deep End, Green Hall Gallery,
ニューヘイブン(米国コネチカット州)
2013年 Second Year Exhibition, Green Hall Gallery,
ニューヘイブン(米国コネチカット州)
2012年 Assorted, Green Hall Gallery,
ニューヘイブン(米国コネチカット州)
2012年 My Apocalypse curated by Nick Marshall, Hungerford Building,
ロチェスター(米国ニューヨーク州)
2012年 Draft 9, The Yard,
ロチェスター(米国ニューヨーク州)
2012年 I know you through pictures, SPAS Gallery,
ロチェスター(米国ニューヨーク州)
2012年 CIAS Invitation Exhibition, Gallery R,
ロチェスター(米国ニューヨーク州)
2011年 Draft 8, Rochester Institute of Technology,
ロチェスター(米国ニューヨーク州)
Awards/Fellowship
2015年 写真新世紀佳作
2014年 Toby Devan Lewisフェローシップ
Website
Comment
石野の作品は、一見解りやすく見えるが実はかなりヒネリが効いている。それらは視覚的に魅力的であり、Tumblrですぐに使え、遊び心があり、しかも痛快である。しかし、彼の作品は「オチ」の数秒後に初めて笑える冗談に似ている。彼の作品を見る人は、この「オチ」からの数秒間に困惑や期待の状態に留まる。それでも、この作品を鑑賞することから得られる「報酬」に、鑑賞者は満足感を覚えるのだ。
ブルーノ・ケシェル | Self Publish Be Happy
JAPAN PHOTO AWARDに掲載された石野のポートフォリオは、私にとって心地良くも奇妙な出会いと言えるだろう。客観的な視点を維持し、写真の中で起きていることを注意深く観察するのを可能とする一方で、深い主観的世界の気配に動揺する私のような鑑賞者のために、このような知的な認識喪失状態を構築してくれたことに非常に感銘を受けている。石野の作品は、ラリー・サルタン( Larry Sultan )とマイクマンデル(Mike Mandel)の証拠プロジェクト( Evidence Project)を思い起こさせる。それは単に彼が白黒を使用しているということよりも、彼の作品では、個々の鑑賞者の想像力を誘発する、写真と奇異な想像の相関によって、その意味と解釈が構築されるという理由からである。
シャーロット・コットン | キュレーター・写真評論家